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「ずっと一人でばかばかしい愚か者だ」
そう罵ることだろう。
でも、まだ一人立ち尽くす。
ぼろぼろのまま耐え難い状況にいる。
今の自分には巨大な不安と退屈しかない。
時が経過するほどに過敏になる。
退屈なのに傷つき易くなった。
もう何も生み出すつもりもない。
生というものが絶え間ない個の分裂的主体を多くの物事によって存在理由として位置付けることで安定的な存在でいられる。
それが専ら生であること。
統合状態をもとめてやまないこと。
それは常に相対的な状態を少しでも絶対化する企てとして日夜無意識に繰り返し行われる。
それが専ら生のすべてであると考えている。
彼らには真か否かなど興味はない。
彼らは他者の中に何らかの無為を少しでも植え付ける為に自らに有益な情報は与えずに他者がいかに無駄なものへと投資をさせ続け搾取することが可能なのか、それを考えている。相互にそうこうしていると誰もが総体的に積み減らしてゆくのだ。
彼らが彼ら自身を何故疑うことなく日常的生活を送ってゆくことの欺瞞。仕方ないのだと言い聞かせて生きてゆく欺瞞。
■
道具を使用していかにするのか
私には全くわからないのだ
最近は錯乱したなかにあり、物事に対する意欲も失いきっている
周囲はこぞって私をやる気にさせようと、何かを詰め込みたくて苛立っているけど
私は呆然と突っ立った空っぽのまま身体を前後に揺すられる
誰かが何か話してる消えかけた電灯、錆びついた自転車
それでも生活を追う人々…彼らの眼に何が映っているのかサッパリわからない
言葉が違うのか…いや論理が違うんだ
69
時間に取り込まれている
ということに対する恐怖
巨大な拭いがたい恐怖
小間切れの時間が延々と転がっている
「立ち止まるな」といわれても
時に喰われている
66
貴様はそのままそこへ
ただ留まっていろ
ただただ同じように
自己を尊ぶことほどに呪わしいことはない
そもそもが自己を尊ぶことは同時に自己消去する尊厳さえも含まれている
嗚呼、ずっとあと何百億年同じところにいなければならないと思うと胸が焼け付く
64
存在する限り何かにつけ
依存しなければならないこと
それも否定性に基づいた形態によって
相手方に承認されなければならない
…語句の分節がその様に生成されるように
核は空虚がゆえになにもかもが空虚である
常に認識は暫定的地位に甘んじねばならない
無限に広がる飽食の飢餓感から解放されずに
今日も私は熱い風呂に浸からねばならぬのか
「私に何をお求めなんです?」
我々は常に外傷的現実にさらされて
低空での飛行を余儀なくされている
眠れない…
63
生を快く思ったことなどない
もし仮に思った瞬間があるとするならば
私はそれを忌まわしく思う
死なない…のか
死ねない…のか
自分が決めることができるのか
他者が決めることに抗えないのか
生まれてくるものへ
嫌悪と憐憫を感じる
吐き気と悲しみ